53,819円で取引終了、市場の9割が下落
神田隼大研究機構経済学部・神田會證券部
本日の日本株市場は地政学リスクと原油高を背景に売りが優勢となり、主要指数は続落した。
日経平均株価は前日終値54,452円から633円安の53,819円(▼1.16%)で取引を終えた。市場全体ではリスク回避姿勢が強まり、東証プライムでは値下がり銘柄が1,496銘柄と全体の9割超に達し、値上がり銘柄はわずか76銘柄にとどまった。
原油94ドル台が重荷 中東情勢への警戒強まる
今回の下落の最大要因は原油価格の急騰である。
WTI原油先物は一時1バレル94ドル台まで上昇。中東紛争の長期化懸念が強まり、株式市場ではインフレ再燃と世界経済への悪影響を警戒する売りが広がった。
国際エネルギー機関(IEA)は過去最大規模の石油備蓄放出を決定したものの、市場の不安心理を払拭するには至らず、投資家のリスク回避姿勢は終日続いた。
31業種が下落 金融・不動産に売り集中
業種別では33業種中31業種が下落する全面安の展開となった。
特に下落率が大きかったのは次の分野である。
・不動産
・証券
・銀行
・その他金融
米金利上昇の影響で不動産株が売られ、三菱地所など主要銘柄が軟調に推移した。金融株も金利動向への不透明感から売りが優勢となった。
また半導体関連では、アドバンテストや東京エレクトロンなどのハイテク株が利益確定売りに押された。輸出主力株であるトヨタや村田製作所も円安にもかかわらず軟調な動きとなり、市場の弱さを象徴する展開となった。
防衛・ゲーム株は逆行高
市場全体が弱い中で、いくつかのテーマ株は強さを見せた。
防衛関連
川崎重工業
日本製鋼所
中東情勢の緊張を背景に、防衛需要拡大への思惑から買いが入った。
ゲーム関連
任天堂
コナミ
個人投資家の資金流入が続き、逆行高となった。
また、業績上方修正を発表した京都フィナンシャルグループが大幅高となり、証券会社による投資判断引き上げ観測があった安川電機にも買いが入った。安川電機は「フィジカルAI関連銘柄」として市場の関心を集めている。
造船株の異常な上昇 環境船テーマに資金集中
足元の市場で特に注目されているのが造船株への資金流入である。
環境対応型船舶を手掛ける関連銘柄は、過去3年間で株価が約30倍という急騰を記録しており、その上昇率はAI半導体企業の代表格であるNVIDIAをも上回る勢いと指摘されている。
世界的な脱炭素政策と海運需要の回復が、造船業界への長期的な資金流入を促している。
米金融政策の焦点 スタグフレーション懸念
みずほリサーチ&テクノロジーズは最新レポートで「スタグフレーション・リスク下での3月FOMC」と題した分析を公表した。
原油高によるインフレ圧力と景気減速リスクが同時に存在する現在の環境では、米連邦準備制度(FRB)の金融政策運営は極めて難しい局面にあると指摘されている。
米金利動向は日本株市場にも強く影響するため、来週のFOMCに対する市場の関心は非常に高い。
